ライフ / 生活

Vol.01

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「奈良はおもろいで。難しいけど」と言われて奈良に戻ってきました。

近鉄奈良駅を降りて北側、「きたまち」(※1)エリアの入り口となる東向北商店街に入ってすぐに「さくらバーガー」があります。1階はボリューミーなハン バーガーの店、2階はキッチンの付いた貸しスペース「ホ・スセリ」というユニークな構成。店主の山戸さんは東京からのUターンでここに店を開きました。

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―どんな経緯でここに店を開いたんですか?

東京で設計士として働いてたけど、嫁さんとなんとなく『店やりたいなあ』って話をしてました。当時、東京でハンバーガーの店がブームになってて、自分もハンバーガーが子供の時から好きで、『ハンバーガーの店やろう』で、5年くらい修業。

もともと東京でやるつもりだったんだけど、先に奈良で独立していた兄貴に「奈良にもおもろい店あんねんで」と連れてかれたのが椿井市場 (※2)の「三鉢屋」さん。地元のコアな人が集まる店で、通って「店やりたいねん」とか言ってると「奈良はおもろいで。難しいけど」と言われ、そのような経緯もあり奈良でやろうと思い帰ってきました。おやじさんが当面の働き口を紹介してくれて。店をオープンした時に「『さくら』バーガーやから」って桜の鉢植えもらった時には泣き そうになりましたよ。奈良はコミュニティのつながりが深い。この横のつながりは東京では感じられなかったと思います。

―奈良で物件を探すうちにきたまちに来て、『風が変わった』と感じてここで店を開きたいと思った山戸さん。きたまちの魅力って何ですか?

きたまちのみんなが口をそろえて言うのは、「きたまちはむっちゃ雰囲気がええ」。ゆるい感じ。たまに暇なときがあって外を眺めてて、その辺に住んで るっぽい腰の曲がったおばあちゃんがゆっくり歩いてるのを見ると、「きたまちやなあ」ってホッとするし、おっちゃんが店の近くにある銭湯に行く前に 「ちょっと、風呂20分で上がるしハンバーガー作っといて」って、「ああ、きたまちやなあ」と思う。住んではるひとがすぐ近くにいて景色の一つになって て、なのに歴史的な財産も点在してて、みんな言わないけど実は調べたらスゴいとか。

で、きたまちの魅力を知ってもらえたらいいなって始めたのが「きたまちウイーク」(※3)。これもきたまちが大好きで顔の広い人たちが 声をかけあって、最初は50店舗ぐらい集まったかな。みんな、このまちでなんかやって「楽しい場所やなあ」ってわかってもらえたらいいなって、あまりガッ ツリ「稼ぐ」のが目的ではない人たち。最初は1店舗千円づつ出し合って印刷費にして、マップつくるのもロゴつくるのもできる人ができる仕事を手弁当で楽し んでやってくれました。

自分のいる場所が好きになって、まちの魅力を発信し続けることが、長い目で見ると「みんな円満」になると思います。

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―きたまちウイークって、最初はそんな風だったんですね。そういえば、山戸さんってここの2階でもなんか面白いことやってますよね。

最初、1階をオープンしたら、お客さんから「自分も店をしたいんだけど」という相談を受けるようになったんです。2階はいずれ何かしようと思ってたけど、 こんなにきたまちとか奈良で店を開きたいという人がいるなら、2階を「一回ためしでやってみいや」というスペースにしたら面白いかなと。で、キッチン付の 貸しスペースにしました。いろんな人が借りてくれるようになりましたよ。開業を考えている人にはアドバイスとか、イベントにも一緒に出たりして応援してい ます。ただ、ほんとに店を開くまでになる人は少ないですね。

―ご自分は実際開業されたわけですね。そのコツを最後にお教えください。

僕の場合、流れて行ったというか、「ここでこのタイミングがなかったら動かなかった」ということばかりでした。店とか、何か「やりたいなあ」と思っている ときって、実は周りにぽこぽこといろんなことが起こるんですよ。(物事を実現するには)それを見逃さないかどうかだと思います。

 

(※1)「きたまち」 近鉄奈良駅前から般若寺までの一帯。多聞城跡などの歴史的なスポットやユニークな店舗が点在し、新たな観光エリアとして注目されつつあります。
(※2)「椿井市場」 奈良で最も古い市場といわれています。アニメ「境界の彼方」にも登場し、聖地として有名になりました。
(※3)「きたまちウイーク」 きたまちの店舗や活動団体等が「楽しく・おいしく・学べる」をキーワードに、毎年5月下旬に街歩きや屋台、講演会などを繰り広げる一週間のイベント。

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