ライフ / 生活

Vol.02

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“まち”ってほっといたら“まち”にはならへんねんな

かまぼこの製造、販売はもちろん、この界隈の商店街合同で行っている「あるくん奈良スタンプラリー」(※1)や、NPOで実施している「バサラ祭り」(※2)などのイベントを手掛け、まちづくりにも奔走する日々です。

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―子どもの時から、お店を継ぐ気持ちがあったんですか?

子どものときに「店を継ぐんや」とは全然思ってなかった。商店街は楽しかったし好きやったけど、それが「店を継ぐ」には結びつかなかったし、自分が住んでるところの良さって感じてなかった。特に子どもの時はそれが当たり前やって思ってるから。

でも大学3回生ぐらいかな、「まち」にちょっと興味を持つというか、自分の部屋の窓から五重塔が見えるんやけど、何百年も前に建てた人の想いとかが今につながってるんやって感じるようになって、今まで当たり前と思ってたことが実は当たり前やないんちゃうかと思うようになった。いろんな人の力でまちができてるねんなと。それで、自分のこれからを考えた時に、勉強してた語学を生かすとかいろんな選択肢があったけど、ここの4代目として生まれてるってことは、自分にとっては跳び箱の踏み台みたいなものがひとつ与えられてて、それを使ったらもっと高いところまで飛べるんちがうかと思った。それやったら、今の家業もしながらまちと一緒に生活していくみたいなことをやれたらいいなと思ったのが21・22の時。

―じゃあ、大学出たら家業の手伝いに入ったと?

いや、「家業をしたい」とおやじに話をしたら、まず他で修業ということで、同業の大きい会社に雇ってもらった。ひょんなことで支社長にも信用してもらって、20代で営業課長。ふつうやったら感じへん上司の立場とか、会社の経営とか、支社長含んで数人で「会社の経営どうしようか」ってな会議まで加えてもらって。単に「かまぼこつくり」のやり方だけでない、人の表裏とか人間関係とか組織とか会社としての考え方とか経営とか、いろんなことを濃厚に学ばせてもらった。パートのおばちゃんの人生相談とかもやったな。

そんで28歳で「引き際やな」と思って帰ってきて「このままではあかん」と思ったけど、どうやったらいいかわからんし、まず商売の仕方を知ろうと百貨店の催事に出まくった。それと「まちのこととか知りたいな」って思って旅館やってた親戚に相談したら、「青年会議所にはいれ」って言われたのでその足で入会した。そこで子どもにまちのこととか教える活動をしてた。

―そんなところから、商店街のいろんな活動をするようになったんですか?

実はこのあたりの商店街同士は、昔は対抗意識の方が強かった。でも青年会議所とか青少年の活動の中で教えられてきたことやけど、まちづくりは人づくり、で、どんな人を作っていくのかというと街の未来を、志を持って一緒に作っていける人をつくっていかなあかん。じゃ仲間づくりをしよう、その手法の一つとしてイベントがあったり祭りがあったりする。

19年ほど前に国交省から県に来た観光担当の課長が、奈良の活性化のモデルになるっていうので、今の「なら燈花会」(※3)と「バサラ祭り」の“種”を探してきた。それで何人かで高知(のよさこい)に見に行って、「バサラ」をやりたいなと思ってた。

同じころに、警察がここの4つの商店街(東向・小西・橋本・もちいどの)に『「110番の日」の啓発活動を地域でやりたいので協力してくれ』と言ってきた。紆余曲折あったけど、それで初めて4つの商店街が集まって、やっていくうちにどんな人がいるかもお互い分かった。その打ち上げで理事長さんが集まってるとこで「こんなことしたいねん」と「バサラ祭り」のアイデアの話しして、協力してもらえへんやろか、とお願いした。「そりゃ面白いやんか」と「若いのがそんなん言うてんのやったらやらしたれや」という声が上がって、商店街からお金も人も出してもらえることになった。それで4つの商店街のつながりが強くなって、それから広げて8つの商店街でまちづくりの「研究会」を作ろうとなって、8つの商店街の青年部が集まって、アイデアを出し合って盛り上がってミステリー仕立てのスタンプラリーをした。それが今やってる「あるくん奈良スタンプラリー」につながっていった。

今は当たり前に8つの商店街でみんな会ったり、しゃべったり集まってるけど、ここ10年程のことで、他のまちにはあまりないことだと思う。

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―これから、何かやっていきたいことがありますか?

やっぱり「仲間づくり」ってのが大事で増やしていきたい。まちに役立つ人間てのは、自分のことばっかり考えてたらできへんとこもたくさんあると思うから、そういう人、仲間を生み出していくのは難しい。けどたくさんいたら楽しいし、その中からイベントとか祭りごととかできていくんじゃないかな。まちをつくっていく志を一緒にする仲間がたくさんいるまちがいいまち、僕はずっとそう思ってる。

 

(※1)「あるくん奈良スタンプラリー」 毎年正倉院展の時期に、奈良の中心市街地をめぐってまちの良さを感じてもらおうと開催されるスタンプラリー。
(※2)「バサラ祭り」 毎年8月の最終の土日に、奈良のまちなかを様々な衣装、趣向の「踊り隊」がダンスパフォーマンスを繰り広げるイベント。
(※3)「なら燈花会」 8月の上旬に奈良公園一帯をろうそくの明かりで照らす、奈良の夏の夜の光のイベント。

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