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Vol.06

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仲間の離脱や借金からの復活劇 ~鹿野~

三条通ショッピングモールに店舗・事務所を構える「鹿野」。バームクーヘンを中心としたスイーツの販売と生命保険の販売が大きな2本柱です。その他、商店街活動にも積極的で、フリーマーケットの開催や8商店街合同イベント「SHOW天GAI∞(ショウテンガイエイト)」にも出演している新谷社長に店舗経営についてお話をお聞きしました。

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-お店を始められた経緯を教えてください

大学卒業後は、大阪にある総合商社に勤めていました。奈良から会社まで毎日往復3時間かけて通勤していたのですが、あるときふと、通勤時間を年間で計算してみたところ、「3時間×年間300日=900時間」と通勤にかなり時間を使っていることに気づきました。それで自由出勤である生命保険の仕事に切り替えました。

平城遷都1300年祭(2010年)(※1)の2年前、お客様と忘年会をしているときに、「せっかく1300年祭があるのだから記念に何か事業をやろうか」という話になりました。当時は、手づくりで有名なお菓子が奈良にあまりなかったので、「奈良を連想させる美味しいお菓子」ということで大和茶を使ったバームクーヘンを作ることにしました。さっそく一緒に話をしていた3人で共同経営を始めて、駅ナカスイーツとして近鉄大和西大寺駅の構内で販売を始めました。すごく売れて、「百貨店で店を出さないか」というお話をいただいたほど。それまでは駅ナカだけだったが、本格的に店舗がほしいと思って場所を探し始めました。商品は奈良にこだわっていたので、場所も奈良にこだわりたい。奈良にこだわった場所はどこか考えたときに思い浮かんだのが、春日参道の入口である三条通りでした。事前調査では、近鉄奈良駅周辺よりもJR奈良駅周辺の方が人通りは少ないということはわかっていたのですが、歴史的にみて由緒ある通りであることから、JR奈良駅寄りの三条通りに店を構えることになりました。

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オープン当時は200人もの長蛇の列が並びました。1300年祭の時期までは順調に推移しておりましたが、その後JR奈良駅の駅ナカ開発も進み、売上は大きく落ち込みました。結果、数千万円の借金を抱えることになりました。最初は3人で始めた事業でしたが、1人抜け、2人抜け、結果的には私だけになりました。借金を抱えてまでやっていくということに対して妻に相談したところ、意外にも「やったらええやん!大将やりたいんやろ?」と後押しをしてもらったので立て直そうと決意しました。

それから店を立て直すために、店舗運営に関して積極的に意見しました。しかし、いろいろと口を出した結果、社内の雰囲気が悪くなってしまいました。どうすればよいのかわからず1年間が過ぎ、その間にも赤字が膨らんでいきました。そんなときに取り組んだのは、会社の「経営理念」と「ビジョン」の明確化です。「経営理念」と「ビジョン」を明確にすることで、会社の向かう方向性・考え方を従業員に共有すると同時に、自分の行動の支えにすることができました。会社の考え方を従業員に理解してもらえると、社内の雰囲気がグッと変わりました。例えば、私が商店街活動などで店にいないときは従業員から不満が出ていたのですが、ビジョンの中に「まちづくりに積極的に関わる」ことが明記されているので、まちのこと・商店街のことをしていても不満が出なくなりました。

また、売上だけを追わず、利益率を考えて経営をするようになりました。今は、ピーク時の売上高から4割減らしましたが、それでもきちんと利益が出る体質になっています。

-なぜ商店街活動をするのですか?

本来は商店街活動をしなくてもよいと思っています。奈良市にある8商店街は、全国的に見ても勝ち組の商店街で、何もしなくてもこれだけ人が来る商店街はなかなかありません。特に三条通りは上場企業も入るブランド力がある商店街だと思います。鹿野も三条通りに店舗を構えているということで、大手ショッピングセンターからの信用を得て、販路の拡大につながった経験を持っています。

だから私は、商店街のために商店街活動をしているのではありません。他の店主さんとのつながりを作るためにやっています。一人でやっているとどうしても視野が狭くなってしまいますが、他の店主さんとつながることによって視野を広げることができます。あとは一種の近所づきあいですね。学校に行って誰とも付き合わないというのは寂しいですよね。だったら同じクラスの人もそうだし、隣のクラスにもつながりができた方が面白い。それと同じです。

-今後の展望を教えてください

「これまで以上に、今まで通りのことをする」ということでしょうか。最近、商品についてクレームをいただくことがありました。もう一度足元を見つめなおして、安心・安全な商品を提供し、信頼を積み重ねていきます。これからも手づくりで愛情を込めて、自分がいなくなっても生き続けていくような商品を作っていきたいと思います。

 

(※1)「平城遷都1300年祭」 現在の奈良市付近にあった平城京への遷都から2010年(平成22年)で1300周年を迎えることを記念して開催された事業。平城宮跡会場を「メイン会場」とし、ほかに県内各地で特別イベントや特別開帳が「巡る奈良」事業として開催された。

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